第三章 国民の権利及び義務
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、
経済的又は社会的関係において、差別されない。
○2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
○3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、
又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
矢部武の『人種差別の帝国』の
「Chapter4 白人と有色人種の命の値段」に”被害者が白人の場合は有色人種の場合よりも、
加害者が死刑になる割合が2倍も高くなる”というコロラド大学社会学部のマイケル・ラディット教授の調査結果が紹介されている。
この調査はフロリダ州とイリノイ州で行われた。この結果を受けて、イリノイ州知事は死刑囚を減刑にしたが、
フロリダ州知事はほとんど無視したそうである。公権力による差別は法律上は無くなっているのに、
実際に執行する段階ではいまだに存在しているようである。公民権法があるはずなのだが。公権力による差別があることを考えると、
私人間の差別はもっと深刻である可能性がある。
第十四条第一項は法の下の平等を規定している。アメリカ合衆国憲法にも同様の規定がある。
Fourteenth Amendment - Rights Guaranteed Privileges and
Immunities of Citizenship, Due Process and Equal
Protection
Section. 1. All persons born or naturalized in the United
States and subject to the jurisdiction thereof, are
citizens of the United States and of the State wherein they
reside. No State shall make or enforce any law which shall
abridge the privileges or immunities of citizens of the
United States; nor shall any State deprive any person of
life, liberty, or property, without due process of law;
nor deny to any person within its jurisdiction the equal
protection of the laws.
アメリカ合衆国憲法では”州は法律による平等な保護を拒んではならない”とだけ規定されているが、日本国憲法では、
詳しく規定されている。アメリカの場合は1968年に公民権法が成立して詳しく規定された。日本の場合は個別法で対応している。
門地というのは辞書によると家柄らしい。家の格といった感じか。第二項は貴族制度を否定してる。
第一項で門地による差別を禁止しているのだから必要ないように思えるけれど、たぶん戦前に貴族制度があったためだろう。
仮にこの条項がなかったとしても、差別禁止のためにほとんど無効化されるだろう。第三項には栄典は特権を伴わないとし、
それは一代限りとしている。栄典を受けることにより家の格が上がると人々が解釈することはもうないとは思うが、
昔は違っていたからわざわざ特権否定の条項があるのだろう。それでも、
政治家の一部は勲章をもらって栄誉以上のものを示そうとすることがないわけでもない。家の格は結婚にも影響を与えたそうだから、
そういったことが前提をされているのだろう。今はたぶんそういうことはないだろうが、地方では微妙な働きをしなくもない。
憲法施行から60年を迎えようとしている現在、人々の意識の中から家の格というものは消えつつあるのだろう。
憲法はあくまで公権力を縛るものであり、私人間の効力はないとされている。
しかし国家には差別的取扱いが起こらないように下位法を制定する義務がある。あらゆる人は法律によって保護を受ける権利がある。
(家の格に関する意識は消えつつあるように見えるのに)部落差別はいまだに根強く残っているようである。そのためか、
部落解放同盟は差別禁止法を要求している。また人権侵害を救済する法律を求めている。しかし公権力を縛るのではなく、
私人間で作用する法律には反発が強い。差別の可罰性はそう簡単に成立するものではない。
犯罪の構成要件が成立しない場合は処罰ができない。それゆえ部落解放同盟としては、司法による処罰は無理なので、
行政処分による差別の規制を求めているのだろう。法治国家の法規範の観点から見ると、この試みはあまりうまくいくとは思えない。
性差別の解消は微妙なところである。わが国は1985年に女性差別撤廃条約を批准したので法律上は性差別は解消されている。
しかし部落差別と同様、私人間では解消されているとは言えない。企業は規制できても個人を規制するのは難しい。
いわゆるセクハラは違法行為になりうるが、それ以外はどうだろう。夫婦間の強姦罪は
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(いわゆるDV防止法)」によって成立するようになった。
法による保護を受けられるようになることはよいことである。しかし犯罪成立の構成要件を満たしていない場合はまだ難しい。
民事訴訟でいければ何とかなるだろうが。
人種差別は無くならない。日本国籍であるにもかかわらず、人種が違うということで差別が起こる。
たいていの権利は国籍に関係なく行使できる。しかし外国系日本人が差別されている現実を考えると、
外国人に対する差別は推して知るべしだろう。わが国は人種差別撤廃条約を1995年に批准している。
十年たってもあまり変わらないように見える。
あらゆる場面において差別をなくすために、国が何らかの措置をする必要はある。わが国は民主主義国家であるから独裁国家と違って、
公権力による差別は提起がしやすい。しかし私人間の場合はそういうわけでもない。私人間においては、処罰ができない場合でも、
不利益を被っている場合は調整が必要だろう。紛争調停機関が必要だと思う。ADR(裁判外紛争解決)
が差別に関してうまく機能してくれればよいのにと私は思う。
posted by mirrornowhere at 13:39| ラスベガス

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